小春は玄関ホールに着くと、自分の下駄箱をためらうことなく勢いよく開けた。 「小春、もぅ何急に、走って……」 小春の後を追って来た里美は膝に手をついて呼吸を整える。 ――うん。やっぱこいつは陸部がオススメ…… 心の片隅で小春の脚力を絶賛する。 「………ホントどしたの?……何か、入ってるとか…?」 いきなり疾走したかと思えば息一つ乱さず今度は立ち尽くしている。