「もう帰るの??」



「クソ兄貴どもがうるせえからな。先帰るわ。じゃな」





そのとき、廊下の奥から「さーくやー!!!!」と、声がした。



完璧にうちの愚兄どもだ。恥ずかしいにも程がある。





「ちょ‥‥っ、あれお兄さん達じゃない!!?」



「わかってる。足止め頼むな」




チッと舌打ちしてから、窓を開ける。後ろで真崎の「貸し一つね」と言っていたのには聞こえないふりをした。



幸いなことに、俺のクラスは二階だ。脱走に命をかけないで住むので、このクラスは大変気に入っている。



窓の桟に足を掛けて、一気に屋外に飛び出す。



ザリッとした音を立てて、校庭に着地する。





「‥‥っしゃーっ、今回は86点だな」





ダイブに自己採点をしていると、俺の教室の窓から騒がしい音が聞こえる。





「‥‥‥ばかめ」





ほくそ笑みながら、俺はその場から走り去った。