「あ゛ー、づがれだー」



「お疲れ朔夜。そしてファイト」





ぶちぶちと言いながら英訳をしていると、横から聞き慣れた女子の声が掛けられた。



俺の今のところ一番仲が良い女子の真崎――六道真崎(リクドウマサキ)――は、若干二名の男をんな同盟の一人でもある。



気を許せる相手というのは今のところ真崎くらいなので、とりあえず愚痴ることにする。



あのあとひとしきり疲れるランチを終え、漸く兄らの攻撃(?)をかわし、教室に帰って来たと思ったら、次の英語の授業の英訳が終わってなかった。






「とことんついてない1日だよ」



「そんな日だってあるわよ。ただ、そういう日は決まって、とことんまでついてないけどね」




ニヤニヤしながら嫌味を言うのは、もう真崎の癖だろう。



嫌な真崎の予言めいたものを聞き、もう今日は家に帰ってとっとと寝たくなった。



どうせ兄関連なんだ。奴らはとことん俺に構い倒してくるから、きっとそういうことがまだ今日1日ついてまわるんだろう。





「これ以上ついてないって、よっぽど酷い日になるんだな。今日は」



嫌な予感しかしなくなって、一旦思考を引き離そうと考えなおし、英訳に向き合った。