「‥‥??そんな約束したっけ??」



「「「「「!!!!!!」」」」」



「!!!――っお母様!!!」





母さんの言葉に、全員が驚いた。



食い下がるレイちゃんとやらが、婚約の証明書をつきつける。




「ホラ、ちゃんと約束されてあります!!!!よく見てくだサイ!!!」



「んー??‥‥‥‥ああ、これ、レイモンド夫人と、ちょっとした遊び心で作った、ニセモノよ。よく持っていたわね」





先ほどまで余裕そうにしていたレイちゃんは、かなりのショックをうけたらしい。ふらふらした足どりで、目を見開き、震える手で母さんの肩を掴んだ。





「そ、そんな‥‥‥‥‥嘘ですよね??朔夜とボクは立派な婚約者同士ですよね!!!??」



「‥‥‥あー、ごめんね。私達が紛らわしいことしちゃったから、勘違いしちゃったんだね。婚約はないよ」





絶望からか、レイちゃんがその場に崩れ落ちた。少しきつめかもしれないが、今の奴にはちょうどいい筈だ。



そうだ。大体、俺の母さんがそんなことするはずがないんだ。母さんはかなり責任感の強い人だから、こういう重要なことは本人に必ず言うし、結婚の為の教育だってしてくれるはずだ。


ただ、ちょっとやんちゃで好奇心旺盛なだけだ。うん、多分。