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「朔夜!!!!大丈夫!!!!??」



「‥‥‥‥いや、無事じゃねぇな」



「もう終わったな‥‥‥‥」





遠目に見えるマンションのエレベーターホールで押し倒されている朔夜は、半放心状態だった。



景と凪と真崎の三人は、マンションへ走りながら、遅かったことを悟った。



なんとなく目元に涙もある気がする。捕らえられた小鹿のようだ。



小鹿もこちらに気づいたのか、ホッとした表情を浮かべ、そして――――






‥‥‥‥‥‥気絶した。






「「さっ‥‥朔夜!!!!!!!」」



「ちょっ‥‥!!!!朔夜っ!!?」





慌てて正面玄関を抜け、朔夜に駆け寄ると、見事なまでに気絶していた。景と凪は愕然として、体を強ばらせたまま動くことが出来なくなっていた。



真崎は朔夜をこの状態にした張本人の外国人を横目で見た。なんだかおもいっきり目が合ってしまって、内心舌打ちした。



目が合った外国人は、細部まで真崎の感情を分かっている、といった余裕のある微笑を浮かべた。





(絶対友達にはしたくないタイプだわ‥‥‥)