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「あー、久しぶりに一人で帰れるー」





俺が帰った後の教室のことなんて、想像しなくても分かる。



もうすぐマンションに着くと思い、思わず足取りが軽くなる。


単純??うっせぇ。いいじゃねぇか。



今までずーーーっと兄につきまとわれて登下校だぞ??望んでねぇのに。





「なるほど、これが普通の学生の下校か」





思えば一人で帰るなど初めてに等しい。



いつも一人で帰ろうとすると、なんだかんだ兄に捕まってしまうのだ。それが、今日に限って無かった。



いい歳して初めて一人で下校というのが悲しいが、取り敢えずはこの喜びに浸るとする。





「真崎の奴、適当なこと言いやがって。もう今日の厄はないんじゃないか??」





この程度でここまで余裕が出てくる。



ようやく見えたマンションの玄関に、意気揚々と入った。











――――――入った瞬間、強い衝撃が腹を襲った。