「うぐっ、うぐぐぐぐ……っ!!」



苦虫を潰したような顔して、唇をギリギリ噛む勅使河原氏を横目に大胆不敵に微笑むと



「わかったら、大人しく見ていてください。
ことの行く末を……ね??」



バカにしたように
ニッコリ笑って


陸ちゃんは私の肩を抱いたまま
足早にその場を後にした。





トコトコ、グイグイと
私の肩を抱いたまま
勅使河原家の裏路地へと連れてきた、陸ちゃん。



勅使河原氏の姿が見えなくなったのを確認して


「もう!
言い過ぎだよ、陸ちゃん!!」


陸ちゃんの手を振り払って
文句を言うと



「だってさ~??
あのクソオヤジ、ムカついたんだもーん。」



さっきまでの負のオーラはどこへやら。
陸ちゃんはいつものようなワンコなカワイイしぐさを見せてプーーンとスネて見せる。



――もう!!なんなのよ、その変わりよう!!



まるで変装を解いたルパンのように鮮やかな人格変化に呆れかえっていると



「ま、あのオッサンにむかついちゃったのも理由の一つだけど~??
あの場に現れたのはそれだけが理由じゃないよっ??」



そう言って
悪魔な顔して
陸ちゃんは私の右耳に小さなイヤホンをそうっとあてがう。