そっか、テスト…頑張ったんだな。




俺はハッキリ言って、ここ2週間ほどはテスト勉強を一切見ていない。




…ひなの実力って言ってもいいはず。




うん、と1人で頷くと、悠河はお好み焼きにかぶりつきながら俺に言う。




「お前と零の朝晩家庭教師で、そうとう疲れてるみたいだったぜ?」




へぇ………。




…零って、あの…。




ひなの…一応彼氏な。




あまり酒が強くない俺だけど、「零」という存在に少しムカついて、無意識に2杯目を飲んでいた。




つーかひな、朝も別のヤツと勉強してたのかよ。




どうりで、クマがなかなか消えないはずだ。




もう何度目かもわからないため息を零すと、悠河に笑われる。




「センター入試まであと一か月もない!!って慌ててたしな」




…多分、ひなは大丈夫だろう。




一応ひなが通う高校は有名な進学校。




女子校の中じゃトップを争う付属校だ。




英語の長文だって、読み解ける力はついたはず。




元々の能力を持ってるくせに使おうとしないひなには、俺も驚いたよ。




居酒屋にも関わらずお好み焼きを頼んで食ってる悠河は、何も言わずに飲み続ける俺に苦笑いを浮かべた。




「まー、峰龍大に来たら、ひなはモテモテだろうなー。」




そうだな。




その前に捕まえておきたいと思ったんだが…。




“零”とかいう存在がいたら、どうも無理そうだ。




もう何杯飲んでいるかもわからないまま、ひたすら酒を喉に通す。




…飲んでるのは全部同じチューハイだから、数えられないのも仕方ないけど。