「――菅原」

げた箱の自分の扉を開くと、声がした。


「? 本多君……?」

どうして?

さっき、帰っててって言ったのに。


「……やっぱ暗ぇし、それに、指導者として最後まで見守ってやんねぇと思って」

『指導者』。

胸がズキッ、と痛んだ。


でも、それでも。

本多君と帰るだなんて、夢にも思わなくて。