「……菅原?」

「はっ、はい」

気づくと、出てったはずの本多君。


「送るからさっさと来て」

「え? あ、あの」

「菅原は変な遠慮しなくていいから。ほら」

本多君は顎で扉を示すように動かす。


「あ、……その。……忘れ物したので、先に帰っててください!」

私は猛ダッシュで、本多君の横を通りすぎた。


「あっ、菅原っ……」

本多君は何かを言いたかったみたいだけど、なんだか怖かった……。


 ――結局、来た先はお手洗い。

でも、私は昇降口に向かった。