南条さんはびっくりするぐらい覚えが早かった。

基本ステップは2時間ほどでマスター出来たほどだ。

「やっぱりダンスって汗かきますね」

「そうですね、全身を使って表現するものですからね」

圭さんが南条さんを教えている間、私たちは今度のスタジオ内オーディションの練習をしていた。

「あの二人かなりうまいですね」

「幼馴染同士で小学生の時からずっとペアでダンスしてるんですよ」

「付き合ってるんですか?」

「どうでしょうねぇ、プライベートまでは干渉してないのでなんとも」


何を話しているのかは音楽のせいで聞こえなかったがたぶん私たちのことを話しているんだろう。

「南条のやつ…」

「ん?」

「メグだけじゃなく圭まで手玉に取る気か…」

真面目な顔で一星が言うので笑ってしまった。

一星は確かに男性である圭さんが好きだが別にゲイではない。
たまたま好きになった相手が男性だったというだけで女性はもちろんかわいい・きれいな人は大好きだ。

「一星さぁ目の前にメグと圭さんがいたらどっちに抱き付くの?」

私は冗談で聞いてみた。

「…どっちだろう…でも、圭ならいつでも飛びついて行けるからやっぱりメグかなぁ」

「訴えられるよ」

「お前聞いておいてそれはないだろ」

いつものようにじゃれ合う私たち。

これが私たちの日常だった。