「今日、圭さん戻ってくるんだって?」

「うん、2位だったけど世界で2位だからなぁすごいよ圭は…」


一星は小学生の時にたまたま通ったダンススタジオの中をガラス越しに見た時に、当時高校生だった加納 圭に一目惚れをした。

それを見ていた私は彼の気持ちを知っていたけど自分で打ち明けてくるまで気づかないふりをしていた。

中学2年になった頃、一星に話があると家に呼ばれた。


「オレ…圭さんが好きなんだ・・・」

「うん、しってる」

「な、なんで!!」

「だって、圭さんを見る目が特別だったから」

いつも、一星を見てた私と同じ愛しい人を見つめる目。

「そっか…じゃぁみんなにも…」

「ばれてないよ。みんなは本当に圭さんのダンスが好きなんだなってくらいにしか」

「本当か?」

「うん、というかまず男同士でって結びつく人もいないと思うよ」

そう、圭さんは男の人。
不毛な恋。


「お前は引かないのか?」

「誰を好きでも一星は一星でしょ?いいんじゃないかな…じゃぁ私も相談していい?」

「あぁ何でも言ってくれ」

いつもの屈託ない笑顔が向けられて泣きそうになりながら私は伝えた。

「私…私は一星が好きだったよ…」

笑おうとして失敗して泣き顔を晒してしまった。

「ごめん…でも、ありがとう。」

私たちは握手をした。

これからも仲良く友達でいる約束の握手を…。