私と彼と・・・

夜10時
圭さんは世界2位のお祝いの為に先生たちに連れて行かれ、一星はそれについて行った。

「茉侑香はもうかえりなさい」

こういうときだけ女扱いされてしまうのが悲しい。
家が徒歩5分のところにあるからと女扱いの割に誰も送ってくれなかった。

「えっと…茉侑香ちゃん」

「あ、はい」

「一人で大丈夫？」

「うち近いんですよ」

南条さんはため息をついている私に心配そうに聞いてくれた。

「僕、車で来てるから家まで送ってあげるよ」

「そんな、お仕事してダンスまでしてお疲れなのに送ってもらうなんて…」

「女の子は遠慮しないの、一人で帰したばっかりに事故にあったとか痴漢にあったって言われたら僕もう生きていけないよ…」


すごく悲しそうな目で訴えられたら「お願いします」としか言えなかった。

「ねね、変なこと聞いていい？」

車に乗ったところで南条さんはチャンスとばかりに聞いてきた。

「なんでしょう？」

「一星君とは付き合ってないの？」

「…付き合ってませんけど…」

「じゃぁ、一星君のこと好き？」

「親友としてなら」

「じゃぁ、僕と付き合わない？」

「はい…ぇえ！」

ニコニコしている南条さんはそのまま車を走らせた。

「あ、冗談じゃなくて本気だからね。なんか初めて会ったのに一目で好きになっちゃってさ、一星君と付き合ってたらどうしようかと思ったよ」

あはは、と笑ってる南条さんの横で私はまだ頭の中が真っ白だった。


「えっと…南条さんなら私なんかじゃなくても彼女たくさんいらっしゃるんじゃ…」

「人を女たらしみたいなに言わないでくれる？」

「すみません」

「本気だから、今度会うまでに返事考えておいて」


そう言って私の指定したところで車をとめてくれた。