「やめろって」


服を持つあたしの腕を、蓮が掴んでいた。


「お前には遼がいるだろ。
こんなことしても無意味だって分かんねーの?」


あたしをまっすぐ睨みつける蓮の瞳。

あたしは下を向いて呟いた。


「だって…あたしは蓮に帰ってきてほしいから。
蓮が帰ってくるならなんだってするよ!!」


あたしは目に涙を溜めて蓮を見つめた。

今にも零れてしまいそうな涙を、拭うこともなく蓮を見た。


蓮がいないと、笑えないの。

あたしも遼も、歩果だって。

蓮の笑顔が見たいの。