「波江!早くこっち!!!」
あたしは波江の腕を掴み、
寝室のクローゼットの中に入った。
「はぁ……はぁ……」
微かに見える外。
隙間から様子を窺っていた。
ドンッ
ドンッ―――バリンッ
窓が割れた。
家の中に入って来たのがわかる。
流れる汗。
恐怖で胸が張り裂けそうだった。
体の震えは、あたしなのか、波江なのかわからない。
うごめく何か。
その『何か』は、寝室に入って来た。
隙間から、その様子を見るあたし。
『何か』は、きっと波江がレンタルした彼氏だろう。
ただ規約を破っただけで、
こんな恐怖が待っているとは。
「はぁ……」
荒い息で、あたしたちを探している。