あたしは、扉の覗き穴を見た。
震える体。
迫りくる恐怖。
覗き穴に、目を当てた。
「いない……?誰もいない―――」
ドンッ―――
ドンドンッ
音がするのは、あたしの部屋の窓。
いつのまにっ!
「きゃぁああぁっ!!」
逃げ惑う波江。
「落ち着いて!ここから出ようっ!!」
そう悠季君が言って、玄関の扉を開けようとしたときだった。
「開かない……」
「え?」
「鍵はかかってないのに、扉が開かないっ!!」
ガチャガチャ、と悠季君がドアノブを回す。
ドンッ―――
「いやあぁぁ……」
「くそっ!!」
諦めたあたしたちは、他の部屋へ行った。
「どっかに隠れよう!3人一緒に固まるのは危ないっ!!!バラバラに隠れるぞっ!!!」
あたしは寝室のクローゼット。
悠季君はお風呂場。
波江は、
「波江っ!!」
しゃがんだままの波江。
恐怖で立てないんだろう。