「こんばんは。」

「すみません、遅れまして。」

「いえいえ、
とてもいい子でしたよ。
ね、空くん。」

頷く空くん。

「それでは、失礼します。」

「はい。
空くん、また明日ね!」

「空、はるか先生に
さようならは?」

「…さようなら。」

ボソッと小さな声だったけど
確かに聞こえた。

お父さんは空くんを抱っこして
一礼したあと、
雨の中、暗闇に消えていった。

私はその姿が見えなくなるまで
見つめていた。