私は下を向いて言った。

「だって、私が
もっと早くあの子の
異変に気づいていたら…
あんなに熱が上がらないで
済んだかもしれないのに。」

「遥香。
それは違うよ?」

「え?」

「子供ってまだまだ
抵抗力とかないから、
病気にかかりやすい。
それは保育士やってるから
分かるだろう?」

「そうだけど…。」

「それに、まだ君は
あの子のお母さんに
なったばかりなんだから
気づけなくて当たり前だし
これから気をつけていけば
いいだけだよ。」

「うん…。」

翔さんは私の頭を
ポンポンと撫でて、
「大丈夫、あまり
気に病む必要はないからね。」と
優しく言ってくれた。

この人が旦那さんで
よかった、
そう思った。