そんなある日、彼に出会った。
この日は朝から雨で、
子供を早く迎えに来る親が多かった。
なかなか迎えが来ない子は、
お絵描きをしたり、
ままごとをしたりと、
楽しんでいたようだが、
その子たちも
じきに迎えが来て、帰って行く。

そして、とうとう一人きりになってしまった。
その子の名前は、佐倉 空くん。
私の担当する年中さんクラスの男の子。
空くん家は、
お母さんとお父さんが離婚して、 
空くんはお父さんに引き取られた。
お父さんは仕事で帰りが遅く、
なかなか迎えに来れないのが
現状であり、
迎えが来るまで
保育所を開けていなければならない。

私としては、
家に帰った所で誰もいないし、
何時でも残れるが、
それは許されない。
親戚にでも連絡して、
迎えに来て貰わなければいけない。