「那智っ待てよ」
部活入ってねぇくせにくそ早ぇ……
意地でも負けたくねぇな
サッカー部のエースの名にかけて
「おいっまじ止まれよ」
「……。」
校門を出たところで那智の動きがぴたりと止まる
「嘘だろ?冴慧の……鞄じゃんかよ」
ぶちまけられた大量の荷物の中に冴慧のスクールバック
大量の血痕
ガードレールに突っ込んだトラック
「まじかよ…」
俺が呟く
それと同時に那智は野次馬の1人の肩を掴む
「山瀬病院か?それとも中央総合病院?」
「……中央総合病院です」
普段クールな那智の意外な姿に驚きながら女子生徒は答えた
「ありがとっ」
「おいっ……」
俺たちは再び走りはじめた
『やばくない?』
『もしかしたら……死んじゃうかもよ?』
そんな声を掻き分けながら
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pipipi
静寂に鳴り響く生徒会室のPHS
「はい……」
妙な緊張感が部屋中を包みこむなか彼方先輩が静かに返事をする
「はい……え?それ本当なんですか?……もう一度お願いします」
あたしは千歳さんと雅と龍と顔を見合わせる
そして息をのむ
深呼吸をする
彼方先輩の言葉を待つ
「……死んだってことですか?」