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「はぁ……」

教室に戻ったあたしは迷わず自分の席についた

…理由は簡単
単純に波美と顔をあわせたくないだけ


「冴慧ちょーん」

「え…?」

そんなあたしにいつも通りのテンションで話しかけてきたのは波美だった

なんで?

「なんで席ついちゃったのよぉ 早くみんなのとこ行こっ」

波美は強引にあたしの手をひいた

「波美……」

あたしは波美の後ろ姿に呼び掛けた

「あたし……冴慧のこと信じてるから 協力してくれるって言葉信じてる」

波美はあたしの手を握る力を強めた

転校してきてはじめての友達

あたしのために泣いてくれた友達

『冴慧っ』

あたしの大切な大切な友達


「波美…あたしさっ……」

おもいっきりつかまれていた手をふりほどく

「え?」

突然のあたしの行動に波美は驚いた顔で振りかえる

「あたしさっ……生徒会やめるよ」

迷ってる暇はない
迷う意味がない
そして…
こんなことに迷う価値もなかった

「波美のために生徒会やめるよ」

大切な友達だから

あたしは精一杯の笑顔をむけた

波美は嬉しそうに本当に嬉しそうに
「ありがとお」とだけ言った

これでよかったんだよね