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―屋上
「俺…またなんか喧嘩ふっかけたか?」
冴慧は泣きそうな顔をしていた
俺が怒らせた
罪悪感で……一杯だった
「お前らしくねぇじゃん」
「……んだ那智かよ」
顔をあげると那智がいた
「煙草ふかすのは家くらいにしろよな 制服に匂いつくぜ」
「うっせぇ」
那智は俺の忠告に耳も貸さずに明後日の方向を見つめている
「なぁ…今『お前らしくない』って言ったよな?」
「あぁ……」
「『俺』らしいってなんだ?」
那智は俺とは顔をあわせず少し考えた後答えた
「俺の知ってる南波陣は頑固で素直じゃなくてガキだな」
「……うっせぇ」
いいとこないじゃん俺
「ただよ……」
「んあ?」
那智はようやく正面から俺をみた
「1回決めたことは意地でまげなくて 俺にないもん一杯持ってると思うぜ」
それがお前らしいよ……だそうだ
「ありがとよ」
俺は短く答えた
那智ですら俺らしさを理解してる
なんで俺は……
冴慧に何も言ってあげらんなかったのかな
冴慧のこと見てたんだけどな
「那智……あのさ」
何故か自分の口から素直な言葉がこぼれでた
「……冴慧のこと好きだわ」