あたしは
波美になにもいうことができなかった

波美も
それ以上なにもいってこなかった


しばらく視線を交わしたあと波美はあたしの肩から手を離した


「……冴慧?波美?」

美和の声で我にかえる

「2人ともどうかしたの?」

「なんでもない」

波美はいつもの華やかな笑顔を美和にむけた

「解散だし…彼方先輩のとこいってくるね」

あたしは波美の表情を極力みないようにしながらその場をあとにした

見れないよ…
今波美を見てどんな顔すればいいのかわかんないよ

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「あっ★2年の東城さんだよね?」

「はい」

今どきなかんじの女の先輩が教室の前にいたあたしに言った


「ちょー彼方ぁー?」

「なんだブスッ」

「はぁ?ブスッてなによ 東城さん待ってるわよ」

彼方先輩と女の先輩のやりとりを聞きながら廊下で待っているといろんな人の視線を感じる

ーはぁ
やっぱり1人で来るんじゃなかったな

ただでさえ学年間の繋がりが薄いこの学校で2年が3年の廊下にいるのは目立つでしょ

しばらくして彼方先輩があらわれた

「冴慧ちゃん またしてごめんねぇブスにしめられててぇ」

「綺麗な人でしたよね」