「それってどういうこと……?」

「冴慧のお父さんとあたしのお母さんは兄妹だったの」

昔…1回だけ聞いたことがある
あたしは小さいころから引っ越しばかりで『いとこ』と会う機会がなかった

「お父さんの妹とお前は同級生なんだぞ?お父さんが転勤ばかりじゃなかったら会えるんだけどな」

薄れていた記憶が蘇る

「その子の名前はな……『ナミ』って言うんだ」



な………み

思い出した



「じゃああたしと波美はいとこってこと?」

「そういうこと 最初に東城って聞いたときもしかしたらなって思って…お母さんに聞いたら……姪っ子の名前は『サキ』と『サエ』だって」

波美は辛そうな顔をした

「冴慧が……もっと後に転校してきてくれたらあたしが役員だったんだよね……」

「波美……」

「あたしっ…どうしても彼方先輩といたいの……」

あたしにどうしろって言うの?

「去年…名前に『南』がつく人が2人いたの 南野さんっていう子がいたんだけど……辞退したから南波君になったんだ」

「だから…?」

あたしはごくんと息をのむ

「だから冴慧が……辞退してくれればあたしは役員になれる」

「えっ?」

波美はあたしの両肩を掴んだ

「あたしに……役員を譲ってください」