「ま……冴慧」

「お邪魔しましたぁ」

波美が玄関まで追いかけてきた

「……彼方会長によろしくねっ」

「はぁ?!」

そっちかよ!!

あたしは波美の家を出た


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それから15分後

「ただいまぁ」

あたしはサンダルを蹴って家に入る

「おかえりぃ♪」

リビングから声が聞こえた

「あれ?冴稀姉 帰ってたの?」

「うん 彼氏と今日の花火大会行こうと思って 早めに仕事あがったの」


髪の毛をアップにしながら言った

お姉ちゃんの名前は
東城 冴稀【トウジョウ サキ】

あたしより4つ年上の社会人
仕事で知り合った彼氏とラブラブなの

「そおだ冴慧…浴衣きるならあたしがやってあげるから早く持ってきて」


「え?あたし6時に行くんだよ?」

まだ早過ぎだし

「でもあたしあと30分で行くもん お母さんいないんだから早くしなさいよ」

「はぁ~い」

3時間近く浴衣でいなきゃいけないのか……

渋々階段をかけあがった


「冴慧ぇ 早くしなさいよぉ お姉ちゃんには時間がないのぉ~」

下から冴稀姉の叫び声が聞こえる

「わかってるってば」