「彼方さん…そろそろ仕事をしていただけませんか?」
千歳の言葉に俺はため息まじりで答える
「なんかなぁ…あいつらいねぇとイマイチやる気がおきないんだよ」
2年生は林間学習中
いつもは賑やかな生徒会室もここ数日は静まりかえっている
「あなたって人は…今日には皆様帰ってきますわ」
てきぱきと仕事をこなす千歳を見ながら俺は再度ため息をつく
物足りないな
慣れってもんは
恐ろしい
今まであいつらがいて そんで冴慧ちゃんが転校して来て最近それが当たり前になってたもんな
「彼方さん…いつもはちゃんと仕事なさるのに」
今感じてることも全部想い出になっていくんだろぉな
「聞いてらっしゃるんですの?」
「……千歳ぇ もぉすぐ夏休みだなぁ」
「はい ですけどそれが何か?」
ペンをとめて眼鏡の奥から不思議そうな瞳が俺を見つめる
「俺 楽しいこと思いついちゃったんだけど♪」
第02章 変化