「…さ……ぁえ 冴慧っ」
「ん…?」
「冴慧!!」
目を開くとそこには波美のドアップ
「ぅわぁ…」
あたしはびっくりしすぎて椅子からずり落ちた
「なぁに 人の顔見てびびってんのよ もお学校着いたよ?」
「え?」
まわりを見回してみるとみんな下車し始めている
「本当だ」
あたしいつの間にか寝ちゃってたんだぁ
「それより冴慧ぇあんたって子は~」
波美が突然 寝起きのあたしに話題をふる
なんだろう……
那智と座ってたことばれたとか?
「なんであたしに黙って……」
顔が引き攣る
「後ろの席になんか来てるのよぉお」
「へっ?」
どうやらあたしの考えすぎだったみたい
拍子抜けした
「起きたらいないからびっくりしたじゃんかよ」
「…ごめんごめん」
あたしは軽く笑って立ち上がった
「そろそろうちらも支度しなきゃね 起こしてくれてありがと」
「あっ…そういえばさ」
波美が思い出したかのように話しはじめた
「北条君が『サンキュ』だって 冴慧なんかしてあげたの?」
「…え?べつに」
ほっぺにキスされて
肩貸してあげたなんて死んでも言えない
「ふーん怪しい まぁあえてこれ以上聞きませんがね?」