くすっ

ざわつきも一段落したとき那智が突然笑い始めた

「…な 何よ」

「いやぁ…お前ってわかりやすいなぁ…って思ってさ」

「失礼なっ」

「…でもわりと好きだよ そおいうやつ初めてだ」

那智は最高の笑顔をあたしにむけた

きゅんっ

せっかく落ち着きはじめてた鼓動がまた高鳴る


「俺さ 陣と拓海のドンマイパーティーしてたから寝てないわけ だからすごく眠たいの」

「…だからなに?」

「肩貸してよ それ以上のことは絶対しないから」

那智はそういうとあたしの返事を待たずにあたしの横に移動してきた

「ちょっ…」

「なぁ いいだろ?」

「……うん」

いまさら逃げられない
あたしは恥ずかしさで俯きながら小さな声で返事をした

お願い…誰も振り向かないで

そんなことを願いながら

那智はすぐに静かになった

「…綺麗な寝顔だなぁ」

あたしは小さな幸せに浸りながら寝息をたてはじめた那智の黒髪を撫でる


あたし…
好きなのかな?

女たらしでも
二重人格でも

悔しいけど
那智のこと好なのかも…………

まだ自分の気持ちに確信はもてない

これが『好き』なのかわからない

だけどね
もう少しだけ
こんな時間が続いてほしいと思う