それにあたしの好きな人は……
「なぁ冴慧」
「何?」
「お前雅のことどぉ思ってんの?」
なんか…怒ってる?
陣の声に怒りが感じられた
そういえばさっきも陣
いらついてたよね?
「……うーんただの生徒会役員仲間かな?」
陣がどんな答えを期待してるのか見当もつかない…
あたしは当たり障りなく曖昧な返事をした
『何を期待してるのかわからない』
少し前…
彼に言われた言葉の意味が今ならよくわかる
「本当にただの仲間なのかよ?」
さっきの怒りとは少し違うふて腐れたような声
陣は頭の後ろで手を組んだ
「好きだったら?」
あたしは冗談っぽく笑ってみた
「……だったらさっき邪魔しちまったこと謝るよ」
そう言うとふいっと顔を背けた
「好きとかじゃないよ」
あたしは立ち上がって歩き始めた
「どこ行くの?」
「バンガロー帰るね 波美1人で待たせてるし あんたに構ってる暇なぁいの」
「……んだよ 喧嘩うってんのかよ?」
「別にぃ」
陣も立ち上がりあたしの後を小走りでついてきた
「待てよ 俺は1人でいろっての?お前…まじ悪魔だな 魔王にしか見えねぇよ」
あたしは振り返った
「あんたにそこまで言われる筋合いないわよ」