「…じっ」

陣?!

振り返ると中にいるはずの陣
自分の口に人差し指あてながらもう片方の手であたしの口を塞いだ

「大きな声だすなよ 今拓が頑張ってんだよ」

小さな声で言った

あたしはこくんと頷く

「とりあえず…ここにいるわけにもいかねぇからさ」

陣はあたしの口から手を離した
そして今度はあたしの手を掴んで歩き始めた

「足元 気をつけろよ」

「うん」

心なしか心拍数があがっている気がする
繋がれた手に視線をむけてみる

あたし…意識しすぎなのかな?

「ねぇ陣」

「んあ?」

陣の少し後ろを歩きながら声をかける

「…なんで外に隠れてたの?」

「あぁ トイレとか言って抜け出した」

陣…背ぇ高いな
180くらい?
童顔のくせに生意気なやつ

「拓…成功するかな?」

「大丈夫だろ あぁ見えてアイツは女にモテんだかんな」

「…そろそろ手」

離してもいいよ?

言いかけたけどやめた
目はとっくに暗闇にも慣れている

だけど……

「行くとこもねぇしそこのベンチ座る?」

広場のベンチを指差した

「…うん」

なんか複雑

陣は美和の好きな人だから本当は美和に協力してあげなきゃいけないのに なんであたし今 陣と一緒にいるんだろ?