「眠たいよぉ」
「どうせ徹夜したんでしょ?」
「興奮しちゃって寝れなかったんだもん♪」
転校して約2週間
クラスにも生徒会にも馴染め始めた今日この頃
今日から林間学習
バスの中にいます
「冴慧は好きな人できたぁ?」
「ふぁ?」
配られたお弁当のおにぎりを口に運んでいたら波美が何気なく聞いてきた
口の中のご飯を飲み込んでから声を出す
「……何よ急に」
「その言い方はできたんだにゃ~?」
首を傾げて甘ったるい声を出す波美
確信のあるその言葉にあたしは驚く
この2週間頭に浮かんでは消えるのは
悪巧みするようなあの笑顔
「………わかんない」
「あぃ?いうろぉ?」
まじ?いるのぉ?
波美
飲み込んでから喋って
あたしは問いにこくんと頷く
「まさかっ…」
「おい」
こっそりと話しているあたしたちの声を遮ったのは憎たらしいあいつ
「何よ?」
後ろの座席から身を乗り出している陣の上下逆さまにうつる顔
「なんか書くもの貸せよ」
「なんで……?」
陣には厳重警戒中
「いいからっ早くしろって」
陣に急かされてあたしは渋々メモとペン