「なんか嫌だな」
ため息まじりに呟く
「何がだよっ」
しゃがみ込むあたしの上から声が聞こえた
顔をあげると教室にいるはずの北条 那智の姿
「………何っ?」
「それはこっちの台詞 のぞき魔」
う……
「たまたま居合わせただけだもん」
「別に声かけてくれりゃあよかったのに」
「………な」
困る様子もなくさらっと言う彼にあたしのほうがたじろいでしまった
「それからさ」
北条 那智は転がっていた空き缶を思いきり蹴飛ばした
「フルネームやめてくんない?俺 北条って名前好きじゃねぇの」
「……え?じゃあなんて呼べばいいの?」
「那智でいいよ」
そういうと少しだけ笑った
「次フルネームで言ったらキスするからな」
そういってあたしの顎を持ち上げた
「……は?」
「それとあれ彼女じゃねぇし」
「え?」
北条……じゃなくて那智がここまで軽い性格とは思わなかった
彼女でもないのに……キスしたの?
最初の印象とのギャップが激しすぎるんだけど
頭がついてかないよ
「これからよろしくな冴慧」