「…え?」

「俺 冴慧にたくさん幸せもらったっつの」

「陣…」

「今が1番幸せだよ 冴慧とまた前みたいに言い争ったりできてさ」

「…っ」

ねぇ

あたし 少しでも陣を幸せにできてたのかな?

陣は美和のお墓の前で手をあわせた

「ありがとな江藤 俺のこと心配してくれてさ」

「………。」

「今さ すげえ楽しいんだ」

陣は大きな声で言った

「まじでありがと」

「じ…ん」

陣の優しさにあたしはまた泣いてしまった

あたしと那智がよりを戻したとき 陣は何も言わずに笑ってくれた

本当は苦しかったと思う

傷つけちゃったと思う

なのに……

なのにあたしにありがとうっていってくれる

あたしのおかげっていってくれる

幸せっていってくれる

「泣くなよ 不細工んなってんぞ」

「…うるさい 陣のせいだよ」

「じゃ 戻ろうぜ 学校」

「…うんっ」

那智には悪いけど今日の陣はかっこよかった

「冴慧」

「なによ……」

「俺じゃなくて那智選んだこと ぜってえに後悔させてやるからな」

「ばーか 陣なんか………」

あたしは立ち止まって陣をみた

「陣なんか大嫌いだしっ」