「冴慧?どうかしたの?」
「……なんでもない」
隣に座っていた杏が心配そうにあたしの顔をのぞきこんだ
陣はあたしの背中を押してくれた
それなのに……
あたしは何を迷ってるんだろ
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「冴慧っ」
卒業式が終わりみんな体育館からバラバラと出る
あたしは誰かに呼び止められた
「えっ………」
「ちょっと待って」
絢架だった
「何?」
話すのはすごく久しぶり
あうのも那智のとき以来だ
「あのね……あたし」
絢架はうつむいたまま口を開いた
「北条君と付き合ってないから」
「知ってるよ」
「えっ?」
絢架はがばっと顔をあげた
「聞いたの だから2人が付き合ってないこと知ってる」
「え?じゃあ……北条君の気持ちも知ってるの?」
「うん 聞いたよ」
「………。」
絢架はなんだか戸惑ってるみたい
「……嘘ついてごめんね冴慧」
「いいよ 絢架が悪いなんておもってないから」
「余計なお世話かもだけど
北条君と……より戻したほうがいいと思う」
「……なんで?」
「あたしはさ 北条君の気持ち聞いて 決心聞いて 彼女のふりすることにしたの……でもね」