「失礼します」
「冴慧ちゃん」
生徒会室の扉を開くと会長さんが声をかけてくれた
明るい声とは裏腹に資料から顔を一切あげず
「1番左の席が今日から冴慧さんの席ですわ」
奥の部屋からお盆を持った千歳さんが入ってきた
秘書?
「はい彼方さん」
「どもども」
千歳さんが持ってきた紅茶のカップを持ち上げてようやく顔をあげた
「書記の仕事は今まで全部 杏ちゃんがやっててくれたんだよ」
「そうなんだ…」
「それを今日から冴慧ちゃんに任せるから♪」
会長さんはふっと口元を緩めた
しっかりしてんのかちゃらんぽらんなのかよくわかんない
机に行くと書類が山積みになっている
「これ全部あたしがやるんですか?」
「もちのろんだよん♪あとさぁ~」
会長さんはカップを机に戻す
「『会長さん』ってのやめてくんない?」
「……じゃあなんて?」
あたしが尋ねると少し間を置いてから言った
「かなたん」
「じゃあ彼方先輩でいいですね」
拗ねてる彼方先輩を放置したままあたしは席に腰をおろして資料の整理を始めた