「……なんですか?」
ガチャン
「陣………」
「彼方先輩 俺からいいます」
「いいのか?陣」
「はい 少なくとも彼方先輩から言われるよりましっす」
「わかったよ」
彼方先輩は陣の肩を軽くポンと叩いた
「余計なことしよおとして悪いな陣」
「いいっすよ 先輩が言わなくても言うつもりでしたから」
「何……陣?」
彼方先輩が生徒会室に戻るのを見届けてから陣はあたしを見た
「……冴慧 あのさ俺 お前に黙ってたことがあんだよ」
「ん?だから何ってば」
なかなか話さない陣をもどかしく思う
「ねぇ 陣」
俯く陣はやがて顔をあげた
その表情はいつもみたいなガキっぽさは感じられなかった
「那智は笹川 絢架と付き合ってない」
「え?」
那智と絢架が?
どういうこと?
動揺が隠しきれないあたし
陣は真顔で続けた
「2人付き合ったふりしてたんだよ」
「えっ……なんでそんなこと」
「那智は冴慧のこと大好きだったからだよ」
陣は強い口調で言った
「俺も最初は納得いかなかったけどさ……今ならわかんだ那智の気持ち」
「………。」
「大好きだから お前の幸せ願って身をひいたんだなって」