「今まで俺についてきてくれてありがとう」
「……っ」
「お前たちと一緒だったから楽しい学校生活がおくれたと思う」
「………。」
あたしたちはみんな黙ってただ黙って彼方先輩を見ていた
「これからは北条会長についてけよ」
先輩は最後に笑顔を見せて
「んじゃっ 西沢生徒会解散」
と言った
今日は卒業式
今は生徒会の引き継ぎの真っ最中
「うぅ……彼方先輩ぃぃ 千歳さん…」
杏は泣きながら先輩たちに抱きついた
「杏さん泣かないでください あたくしまで悲しくなりますわ」
「ぅん…」
そんな姿を見てうるうるしていると彼方先輩があたしのところに歩いてきた
「冴慧ちゃん ちょっといいー?」
「ん?」
あたしは彼方先輩に誘導されるまま廊下に出た
「…なんですか?」
「真面目な話してもいい?」
彼方先輩が…真面目な話?
なんだろう
「はい」
あたしは先輩の目を見てうなずいた
「俺ね 役員みんなに幸せになってほしいわけ みんな大事だから」
「はい 知ってます」
彼方先輩がみんなのこと大事にしてたのはあたしじゃなくったってわかる
「だからさ 反則なんだろうけど 冴慧ちゃんにこれだけは教えとこうと思ってさ」