「蓮と何話してたんだよ」
「さあ?」
「教えてくれたっていいだろ?」
「いや」
「…言えよ」
「なんで?」
「……。」
しまった
いじめすぎたかな?
陣はとうとう黙ってしまった
そして歩く速度が少し速くなる
「……陣っ」
スタスタとあたしよりも先を歩く陣を後ろから呼び止めた
「んだよ」
ぶすっとした態度で振り返る陣
「はい」
あしたは朝渡さなかった紙袋を差し出した
「……これ」
「ハッピーバレンタイン」
あたしのチョコレートを受けとると今までふてくされていた陣の顔がいっきに明るくなる
「さんきゅ 冴慧」
きゅん
夕焼けに染まりオレンジ色が増してる髪の毛
満面の笑み
不意討ちな笑顔にあたしは不覚にもドキっとしてしまった
陣はニコニコしながらあたしに近づいた
チュッ
そしてフリーズしているあたしの頬にキスをした
「……なっ」
「へへっ 仕返しだしバーカ」
「……っ」
「じゃあまた明日な」
気づくとあたしの家の前までついていた
「バイバイッ」
「おうっ」
付き合ってないけど…
こんな関係もありかなって思う
そんなことを考えながら陣の後ろ姿を見送っていた