杏は満面の笑みでいった
「それにしても徹夜ってすごいね」
あたしが言うと杏は大事そうに持っていた紙袋をあたしにみせた
「あたし先輩だから……ちょっとでも大人なとこみせなきゃなって…そしたらね…」
「そっか」
照れくさそうな杏をみてあたしは微笑んだ
「あっ 蓮君」
「冴慧先輩 杏先輩 はよーっす」
校門の前であった蓮君は大きなエナメルバッグを抱えていた
「蓮君なにそれ?」
「ん?バレンタイン用鞄」
「……もらう気まんまんだね」
あたしが呆れた口調で言うと蓮君は言った
「去年大量だったからな 兄貴より」
……もてもてだこと
見ると杏はあたしの少し後ろでモジモジしていた
「じゃっ またね」
あたしは2人に気をきかせてその場から立ち去った
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「なんだよ冴慧先輩…にやついて」
冴慧があたしにチャンスをくれた
「だ…だよね」
渡すなら今しかないよね?
「どーしたんすか?先輩 声裏返ってますよー」
もうどうにでもなれっ
「……?」
あたしは勢いにまかせて持っていた紙袋を蓮君に差し出した
「はい これ……」
「俺に?」
「うん」
「………さんきゅ先輩」