「キスだってぇ……あたし義理チョコ渡すのやめとこ」
杏は続けた
「勘違いされたらたまったもんじゃないし」
「たにかにですわ……」
千歳さんも頷いた
「なんだよなんだよー俺に義理チョコくれっ」
「陣……今さら図々しいっての」
杏が冷たい目で陣を見ながら言った
「あたしは蓮君にあげるんだから」
「蓮かよ………」
陣はため息をつくとくるっと振り返った
「冴慧はもちろんくれるよな？くれんだよな？」
必死すぎだよ馬鹿が
「こーしちゃいられねぇ 宣伝しにかなきゃ」
陣は生徒会室から飛び出していった
「陣さん……キャラクが崩壊してますわ」
「南波は万年学年の底辺の順位キープしてんねん」
「馬鹿だもんね」
「赤点のせいで部活できんって嘆いとったで？」
必死になるわけだ
もし陣が１番になったら…………
考えたくないけど
あたしはちらっと那智を見た
考えたくないけど………
「ねぇ千歳さんは誰にあげるの？」
杏が言った
あたしも２人の会話に耳を傾ける
「わたくしは……１番大切なかたに渡すつもりでしたけど……やっぱり誰にもあげませんわ」
「そうなんだぁ」
杏が頷く
「ねっ？冴慧さん」
「千歳さん……」
