「だいたい陣が1番もらえるわけないじゃん……」

あたしは聞こえないくらいの小さな声で言った

「冴慧なんか言ったか?」

「なんにも」

じ…地獄耳

「今年の賞品決ーめたっ」

彼方先輩がガタンと立ち上がった

「さぁ さっそく全校生徒に報告しよう」


怪しげに笑って生徒会室を後にした

「……なにたくらんでるんだろ」

「さぁ?」

あたしたちの間に冷たい空気がよぎった


『あー こんちは 会長の西沢です』

まもなくして校内放送がかかった

『明日は待ちに待ったバレンタイン
今年の賞品が先程話し合いで決定しました』

みんなが息をのんで彼方先輩の言葉を待った

先程決定って…
話し合ってないし

ほとんど独断じゃん?みたいな

『今年の賞品は…………』

たっぷりと間をあけて言った

『チョコレートもらった人の中で1番好きな人からのキスです』

「「………。」」

キス?

賞品が?

『義理チョコだとしてもご指名があればキスプレゼントっつーことで だから女子のみなさん ほんとに好きな人にだけあげろよ 以上』

彼方先輩は言い切った

『あとおまけで俺がテスト必勝法を教えるよ』


おまけで?

おまけで……



「………俄然やる気でてきた!!!」

役員の中で最初に言葉を発したのは陣だった


おまけにつられた単純馬鹿だ