そういってあたしの手をひいた
「「………。」」
「あの2人って付き合ってんの?」
「付き合ってはないみたいだぜ?」
「ふーん じゃあチャンスじゃん」
スタスタと歩く陣
「ちょ……早いってば」
あの日からあたしたちは友達以上恋人未満の関係でいる
陣からもあたしからも付き合うことを切り出すわけじゃないし
お互いこの関係が1番心地よいことがわかっているから
「……わりぃ」
陣は頭をポリポリかいてあたしの手をぱっと離した
「ねぇ陣」
「んあ?」
「明日さ……一緒に帰れないかな」
「え?」
「嫌ならいいんだけど……」
「え?嫌じゃない…全然嫌じゃないけどさぁ」
テンパる陣
そんな姿がとても可愛くてあたしは少し後ろでくすくすと笑っていた
「なに笑ってだよ」
「笑ってないよ?……ははっ」
「うぜぇ」
陣はふてくされたのかそれ以上なにも言わなかった
ガチャ
「失礼しまーす」
「こんにちは」
「あっ 冴慧ちゃん 陣 ちょうどよかった 今年の賞品決めてるとこだったんだよ」
「賞品?バレンタインの?」
「そうそう」
「去年はたしか彼方さんが優勝でしたわよね?」
千歳さんが言った