あたしは階段をかけあがった
「冴慧っ待ちぃや」
行かなきゃいけないんだ
これはあたしの仕事だから
あたしの役目だから
あたしが……起こした問題だから
誰に止められたって止まらない
「はぁ…はぁ………」
あたしは屋上のドアの前で足を止めた
「……っざけんな」
ガササッ
叫び声のあとに倒れる音がする
「那智 陣っ」
バンッ
あたしは思いきりドアをあけた
「………え?」
そこにあるのは予想外の光景だった
「冴慧……」
「なんで?」
頬を押さえながら倒れていたのは陣だった
「……ってぇ」
陣は那智を睨み付ける
あたしは陣に駆け寄った
「……大丈夫?」
見ると口から血を流していた
なんでこんなこと……
あたしは那智を見上げた
「陣もバカだな 1人の女に必死になっちゃってさ 鬱陶しいんだよお前ら」
「てめぇな…」
立ち上がろうとする陣
あたしは陣を押さえつけた
「俺が誰と付き合おうと関係ねぇだろ?冴慧と俺は終わってんだっての」
那智の言葉にあたしは下唇を噛み締めた
「じゃっ 精々2人で慰めあってろよ 俺にもう構うな」
「……那智っ」
あたしは去っていこうとする那智を呼び止めた
「……あたしのこと 好きになってくれたの嘘だったの?」