俺は綾瀬を見た
窓際で冴慧と佐倉と楽しげに話している
俺の視線に気づいてこっちを見た
そして不思議そうに小首を傾げてすぐに会話に戻った
「…口軽すぎだろ」
「そうか?すんげぇ東城のこと心配してたみたいだぜ?」
「………。」
ガタンッ
俺は立ち上がった
「陣?」
「……那智どこにいるかしらねぇ?」
「わかんないけど ここにいないなら笹川のとこか…生徒会室か……屋上じゃねぇの?」
拓は立ち上がった俺を見上げながら言った
「………屋上だ」
身体を翻して走り始めた
「おいっ!!陣待てよ」
拓が俺を止めるために叫んだが気にもとめずに屋上に向かった
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「綾瀬っ」
拓があたしのところに慌てた様子で駆け寄ってきた
「どうしたの?拓」
あたしたちは拓の顔を見る
「陣が……陣が那智のとこ行った」
南波君が?北条君のとこに?
「どういうこと?」
その話に食いついたのは冴慧だった
「あのな………」
ちらっとあたしを見る拓
あたしは軽く頷いた
「俺が………那智が笹川と付き合ってるってこと言ったら陣が……」
「え?」
冴慧は驚いて声を上げた
菜月も知らなかったみたい