「遅れてすみません」
それからしばらくして陣が来た
「陣……遅い」
彼方先輩の冷たい声が静かな生徒会室に響く
「ちょっと用事があったんすよ」
そんな彼方先輩を見て必死に言い訳をする陣
……どうせさぼりのくせに
「まぁいいや さっさと仕事しろ」
「へいへい」
あたしは隣に座っている杏を見た
ただ下を見て唇を噛みながら黙々て仕事をしていた
それから陣を見る
杏のこともあたしのことも少しも見ずに素通りしていこうとしている
ズキン
「………あのさっ陣」
あたしはたまらず声をかけた
「なんだよ?」
立ち止まりようやくあたしのことをみた陣
あたしを見て少しだけ驚いたような顔をしてすぐにいつもの生意気な不機嫌な顔をした
「あ……いや…ごめん なんでもない」
あたしはすぐに俯いた
「あっそ」
陣は小さくため息をつきながら通りすぎた
何やってるんだろあたし
陣に言ったって意味ないのに
弱虫なあたしは『陣なら助けてくれる』って期待してるし
好意をもってくれてた陣なら今のあたしの状況を話せば同情して側にいてくれるって思ってる
図々しいよね………
あたしはもう一度杏の横顔を見た
本当にあたしは都合がよすぎる