「北条 那智っ」
やっと追い付いた
あたしは彼の学ランをおもいっきり引っ張る
そのまんまの勢いで『学習室1』と書いてある部屋へと引きずりこんだ
「な…なんだよ」
案の定びっくりしてる
「なんだよってこっちの台詞だよ」
弾む呼吸を落ち着けてから疑問を口にする
「邪魔したこと怒ってるわけ?」
「違うから」
あたしは掴んでいた手を離した
「違う なんであんな中途半端な時間に授業抜けたの?」
口からでる言葉が自分のものじゃないかのようにスラスラと出てくる
「特に意味なんかねぇよ」
北条 那智があたしにゆっくりと近づいてくる
あたしは反射的に後ずさる
「……何?」
追いこまれた
踵が壁にぶつかった
「東城はさぁ俺にどんな言葉を期待してたわけ?」
顎をくいっと持ち上げられる
「お前が心配でついてきたとか言ってほしかったわけ?」
息がかかるほど近い
き…キスされる
「びくつかなくてもなんもしねぇよ」
北条那智はそれ以上何もせずその場を後にした