陣はあたしをちらっと見てすぐに目をそらした



「ねぇ冴慧」

「ん?」

「龍之介君が言ってたんだけどね 陣と杏ちゃん別れたみたいなの」

「そ…うなんだ」

「なんでもクリスマス前に別れたらしいんだけど……冴慧なんか知ってる?」

「……。」

「冴慧が知るわけないじゃん」

黙るあたしの変わりになっちゃんに返事したのは波美だった

「だよね」

なっちゃんはなっとくしたように頷いた

「どうしたんだろ?」

あたしと波美はそれ以上何も言えなかった

2人とも別れた理由に心当たりがあるから

「それよりだけどさぁ なっちゃんと龍之介君ってもうヤったの?」

「へっ?」

波美からの不意討ちになっちゃんは持っていたペンを落とす

「いや そろそろかなあ?って思ってさ」

にやにやする波美

なっちゃんは顔を耳まで真っ赤にした

「その反応は……まさか本当に

「はい ストップ」

見るに見かねてあたしは波美の言葉を遮った

「これ以上は聞いちゃダメだよ」

「うん」

波美は満足そうな顔をしている

なっちゃんを散々いじれて喜んでいるみたいだった

「ちなみにあたしたちはもうヤった」

「「ストップ」」

ケロッと話す波美にあたしとなっちゃんの声はシンクロした