「待ってよ」
なんで授業中なのに屋上にいるわけ?
「待ってってば」
北条那智は立ち止まらずに角を曲がる
なんであたしが追い掛けてるんだろ…
わからないけど追い掛けなきゃいけない気がした
階段を駆け降りる
角を左に曲がる
―ドンッ
「キャッ…」
「あっぶね」
突如現れた人影
「わりぃ」
「大丈夫です……」
尻餅をついたあたしは閉じた目を開く
「げっ」
視界にとびこんできたのは陣
もう1限終わっちゃったんだ
陣を軽く睨みつけてすぐに立ち上がった
「ちょ…あのさ」
陣に腕をつかまれた
「何?」
「あのさ…あのぉ」
「だから何?」
やがて意を決したように言った
「……なんでさぼってたんだよ?」
「関係ないじゃん うざ」
まだ何か言おうとしている陣に背中をむけてあたしは歩きだした
---------------------
「…んだよ」
残された俺は廊下に座りこんだまんま髪の毛をぐしゃぐしゃと掻き乱す
『好きにならない』
さっきの会話がフラッシュバックする