「やっぱりあたし……戻れません」
彼方先輩は顔色1つかえずにいった
「理由聞いてもいいか?」
まっすぐあたしを見る視線を感じる
「理由なんかないです……ただ戻れません 今までみたくは戻れないんです」
彼方先輩の顔をみるのがこわくてあたしはずっと下をむいていた
「あたしがこのままここにいても…誰かを傷つけちゃうだけなんです」
那智と…
陣と……
杏の顔が頭をよぎる
「あたしはもう…誰も傷つけたくないんです」
美和は陣があたしのこと好きなのを知っていた
あたしは美和を……傷つけた
「馬鹿じゃね?んなん逃げてるだけじゃん」
彼方先輩の言葉にあたしは顔をあげる
「みんなが幸せになることはできないと思うね 俺は」
「え?」
「たしかに戻ってきても傷つけちゃうかもしれねぇよ
でも冴慧ちゃんがやめたままでもみんな傷つくぜ?冴慧ちゃんだって傷つくだろ?」
「……。」
「要するに誰も傷つけないのは不可能なわけ でもなんにもしねぇで傷つけちまうくらいならさ みんなが幸せになれるよーに考えたほうがいいと思うぜ?」
彼方先輩は腕を頭の後ろで組む
「生徒会役員としてな」
「………彼方先輩」
「返事はもう少し待つよ」