「由紀ちゃん」


応援合戦の練習後、川崎くんが

私の名前を呼ぶ



また、トクンと跳ねる心臓。



「お疲れ様! かっこよかったよ」


本当にかっこよかった。

黒の袴を着た川崎くんは

そこにいた誰よりもかっこよかった。



「ほんとに? ありがとう。由紀ちゃんもチアすりゃーいいじゃん」


「あたしなんかがしても、地味地味。」

へへ、と笑う



「そうかな? 可愛いと思うんだけどー」



「ありがとっ、召集かかってるから行くね! ばいばいっ」




私は逃げるようにその場を離れた。